あかり家を利用している人の中には別の仕事に就いていた方がたくさんいます。話を聞くと、自分には体験できないだろうという話がたくさんありとても面白かったです。そこで今回は、入所前はこんな仕事をしていたという話を上げたいと思います!今回は配送ドライバーをしていたTさんの話を紹介したいと思います。
かなり昔の話しになります。菓子などを製造している企業の配送業務を担っていた頃の面白エピソードです。当時その会社は三つに暖簾分けをしており、それぞれが、独自の商品を作っていることは、あまり知られていませんでした。一つは、浅草・上野・銀座などの東東京エリア店。二つ目は新宿・渋谷などの西東京エリア店。三つ目は六本木・青山などの都内中央部エリア店に分かれていました。
私が所属していた工場では東東京エリア店に納品する商品の製造と配送を担っていました。そんなある日、浅草の店舗に納品している際、店内で身なりの良い、いかにも金持ちそうな年配の女性が「この前、買って食べたのは甘くなくて美味しかったのに、今度(買って食べた)のは甘いの」と、店員の女の子にクレームをつけている所に遭遇しました。
「おっ、ちゃんと味わって食べてるんだ!」と、感心したのと同時に「この会社が暖簾分けしていることを知らないんだな。それも当然か…」とも思いました。なぜなら、私たちが配達している東東京の店舗への商品には必ず、ハチミツが入っているのです。でも、暖簾分けした他の新宿エリア店、六本木エリア店ではハチミツが入っていないからです。
その女性は前回、新宿・渋谷エリア店か六本木方面の店舗でその商品を買って、今回は多分、その浅草の店舗でハチミツ入り商品を買ったのでしょう!同じ会社名ですが、扱っている商品の味はまったく違うわけです。浅草の店舗のことしか知らない店員の女の子は、キョトンとした顔をしていました。私が、説明してあげようかとも思いました… が、次の店舗への配送時間も迫っていましたし、余計なお世話だとも思い、直ぐにその場を離れたのでした。 T
つづく。